カメは犬やネコと同様、人に慣れるのか?


カメに愛情をそそぎ飼育すれば可愛く思い、時には「擬人化」したくなりますよね?
少なくとも私はそうです^^
無意識にしたと思われるカメのしぐさに癒され、その行動に意味を持たせたくなります。

もちろん、犬や猫のような「飼い主とペットのスキンシップ」をカメに望むのは酷な話なのでしょうが多くの方がカメの飼育を通じ生き物とのふれあいを味わいつつWeb上や書籍などで紹介されてみえます。

そんな中で生物学者で東京都立大学で教鞭をとられた石川良輔先生の著書:「うちのカメ」と、心理学者で学習院大学で教鞭をとられる中村陽吉先生の著書:「呼べばくる亀」を参考に「カメはヒトに慣れるのか?」を私なりに考えてみました。

面白いのは御二方とも生物学者、心理学者としての立場からカメを見つつも愛情の溢れる様子がにじみ出てること。

まずは、婦人公論1998年5月22日号から抜粋させていただいた石川先生の言葉。

「ペットって一体何だということですよね。動物を好きな人なら、身近に置いて可愛がってやろうと思います。
その対象が犬とか猫が普通で、犬なんかは社会性の動物だから、ちゃんと躾けられる。
これが魚になると、餌をやれば来るけど、これは単なる条件反射。人も認識しないでしょう。
カメなんていうのは、その中間くらいですから。」

「知能が高いとは考えていませんでした。しかし、こうして長く見ていると、バカにしたほどではないなと(笑)。
知能程度というのは、その動物が生きていくために何が必要かということですね。
そのニーズに対して充分な能力があればいいわけで、余分な能力は必要ない。」

「だからカメには言葉がないと思っていたら、カメコには「カメ語」というのがいくつかありまして。
夜はバスルームに置いてある水槽にもどるんですが、自力では水槽に入れない。
その場合、入ろうと無駄に暴れたりせず、バスルームの隅にじっとしていて、われわれが行くとはじめて水槽のまわりを回るんです。
それは、「入りたい」というカメコのボディランゲージなんですね。」

「それから僕が居間にいると足元にまとわりついて、膝に乗せると寝てしまう。
つまり足元に来るのも、膝に乗りたいというカメコの言葉、意思表示ですね。 
これは余談ですが、なぜ膝に乗りたいかというと、たぶんあったかいところが好きなんじゃないかと思うんです。
カメコは家内より僕のところによく来ますが、女性より男性のほうが体温が高いためじゃないかな。
だからカメにとって愛情というのは「熱」である、と思っているんですけどね。(笑)」

「水槽から出てからの二十年で、自分の欲求を満たすためにはどうすればいいかというのを、やっといくらか身につけたんでしょうね。
空調ボックスの上があたたかいことを覚えたら、水槽から出すとまっすぐにそこに行きます。
自分で上がれないから、じっと上を見上げてる。で、僕らが上に乗せてやる。
夜になって降りたくなると、われわれが差し出した手にちょこんと乗ってくる−−
そういうことを規則正しくやってるわけです。」

「カメコを持って水槽のあるバスルームに行く途中、違う方向に向けると、この動作をします。
いかにも「イヤン」という感じで(笑)。これも意思表示でしょうね。
それから、首を持ち上げてこっちの顔をしげしげと見るというのもやります。
これにもまいっちゃって(笑)。
まあ、こっちが思い入れているほど、カメコは身を入れて見ているのかどうかわかりませんが。」




次は心理学的な観点から亀について書かれた中村陽吉先生の著作から印象深く感じた一言。

「どうやら、私の方がカメちゃんのお世話になっているようである」(心理学者が著作のあとがきで出した結論)



石川先生のところはクサガメ、中村先生のところにはイシガメのほかにクサガメが2匹。
いずれも珍しいカメと言うわけでもなく飼育に至る動機も偶然と言うかありふれたキッカケのようです。

私は半水棲のカメ飼育に座敷ガメ化をあまりお勧めしませんが、両著作を読ませてもらうと批判はできませんね。


では、自然下でのカメについて愛知学泉大学の矢部先生のニホンイシガメ観察記。

「ニホンイシガメは生活場所である川の周囲にエサを探す場所や日光浴をする場所など、重要なポイントを持ち各々のポイントまで移動するが生後10年もすればそれぞれのポイントからポイントまで例えば川の間の陸地を横断するなど近道を思いつく。」

「脳内に自分の生活場所マップがインプットされることで情報を応用しショートカットすることも学習する」



また、動物学者の正田陽一先生のエッセイでは、

「カメは感情を表すことの少ない爬虫類です。人と感情の交流は少ないと思われています。」

と結論つけた上で

「彼らの知能はどのくらいだろう、と考えたことから、ちょっとした実験を行うことにしました。」

「実施する時間はお昼休み。エサを与える前に必ずポンポンと手を叩くことを決めました。それも、いつも同じ場所で与えるのではなく、毎回、エサをやる場所を変え、観察する。最初こそ、戸惑っていたようですが、1ヵ月も続けると、手を叩くと音の発信源のほうにスーッと泳いでくる。なついてくれると、なかなか愉快で、かわいくて…。」

「そうやって親しくなった我々ですが、晩秋、彼らは池から消え、冬眠に入りました。この期間に覚えたことを忘れてしまうかもしれない、という不安もありました。そして、彼らの知能がわかるのは冬眠の後だな、とも思っていました。そして、翌年3月。池のほとりを歩いているときに、冬眠から覚めたカメの姿を見つけました。前年教えたとおり、手を叩きましたが、寄ってこない。「同じイシガメだけど、他の個体かもしれない」と思ったり、同じ個体だとすれば実験は失敗だったかもしれない、と思ったり…。でも、あきらめず、翌日も、その翌日も手を叩きました。すると、3〜4日目、パンパンという音に反応してそのカメが寄ってきました。エサを与えると、前年と同じようにくわえて、水の中にもぐっていきました。ターンして潜っていくその様子がイシガメのうち、大きい個体の方の個性を表していて、「覚えていたんだね」と嬉しかったのを覚えています。」


と、カメの学習能力にふれてみえます。


で、次は本題である飼育下におけるカメについて・・を2冊の著書から簡単に抜粋し、まとめてみます。


・自宅内の間取りくらいなら覚えることができる。
・場合によっては回り道すら覚え、その行動パターンは少なくともニワトリ以上の知能レベルを有する。
・道具を使うことは出来ないが道具を利用することは可能。
・意思の表示が可能。
・呼ばなくても来るのではなく、呼べば来る。

これ以外にも沢山のエピソードがあるのですが興味のある方は実際に本を手にし読んでみてください。

中村先生によれば個々の個体によって性格も異なるようですが、カメって意外に賢いのではないか?と言うのが私の正直な感想です。

もちろん愛情をそそぎ日々のコミュニケーションをはかる努力の賜物でしょうが、幸いカメは長生きするペットですので毎日の世話を繰り返すことで何時か、カメはヒトに慣れてくれ私達人間に喜びを与えてくれる存在だと思う次第です。


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