カメの進化と歴史


ここでは平山廉先生の著作である「カメのきた道」(副題:甲羅に秘められた2億年の生命進化)を参考にカメの歴史について記載してみます。


著者である平山先生は古生物の分野で「カメ」についての論文がイギリスの科学雑誌:ネイチャーに掲載される快挙を成し遂げた凄い方であり、著書に書かれているカメの飼育についても「京都大学・大学院時代に甲長27センチのカミツキガメを購入したが獰猛で手に負えなくなり麻酔をかけて解剖した」などと言う一見すると残酷にも思える経験をサラッと書いてあるのですが、責任を持って飼えなくなるなら野外に放してしまうような事をせず自らの手で殺してしまうのも正論であり解剖すると言う行為はいかにも学者らしいと私は感じましたし、外来生物法に触れた上でワザワザこのようなことを述べてみえるのも先生の「飼育」に対する一つの見解であるかと思います。

さて、本題。

爬虫類(カメやトカゲ)は約3億年前に両生類(カエルなど)から進化し両生類が棲めない乾燥地域に分布を拡げ、約2億5千年前になると海中にも分布域を拡げたようです。

カメの中で最も古い時代に生きていたもので完全な骨格が知られている物として約2億一千万年前に存在していたとされる「プロガノケリス」が知られており、甲長が50センチ・体長は1メートルの大きさのカメだそうです。
下記の画像は我が家の長女が、この本にあるプロガノケリスの挿絵を模倣し描いたもの。(どうしても使いたかったので)



カメの特徴である甲羅を背負い、クビを引っ込められないことや尾が棍棒のような形をしている以外は外見上は現代のカメと変わりは無く、生態的には陸上・草食のゾウガメに近いらしいです。

残念ながらプロガノケリスの祖先にあたる爬虫類が、どのような姿であったかは手がかりが無いようでカメ独特の甲羅の由来についても「防御手段」として発達したと予測される以外に詳細は不明の模様。

現代型カメの登場は、約1億8千年前から登場したと考えられ甲羅に頭を引っ込め、耳の構造も現在のカメと同じらしい。
耳の発達については恐竜やワニ(の祖先)ら捕食者がたてる音声をキャッチし防御する体勢をとるためであり、クビの柔軟性も現代のカメと同様に物音に反応しクビを引っ込める習性を持ちえたと考えられるそうです。


現生カメ類の化石記録を一覧表にしてみます。

アフリカヨコクビガメ科 ヌマヨコクビガメ 最古の化石は約1700万年前
マタマタ科 マタマタ 最古の化石は約1億年前
カミツキガメ科 カミツキガメ、ワニガメ 最古の化石は約7000万年前
ウミガメ科 アオウミガメ、アカウミガメ 最古の化石は約9000万年前
スッポン科 ニホンスッポン 最古の化石は約1億1000万年前
ドロガメ科 トウブドロガメ 最古の化石は約7000万年前
ヌマガメ科 アカミミガメ 最古の化石は約6000万年前
リクガメ科 ガラパゴスゾウガメ 最古の化石は約6000万年前


こうして見ますとカメと言うのは進化しているスピードもゆっくりであり人間が「化石人類」と呼ばれ登場する700万年前より、はるか昔から存在したわけですね。

約200万年前に石器を道具として使用できる人類の進化に伴い多くのカメが捕食され絶滅したと考えられるそうです。
近年の航海日誌が残されている記述にも水や食料無しでも長期生存が可能なゾウガメなどは船乗り達には貴重な食料として重宝されていたとの事です。


「カメのきた道」の中で著者の平山先生は最後に「ペットとして生き残れるのか」と言う章を設け興味深い文章を書いてみえます。

「知力において生物進化の頂点に立ちながら愚行を繰り返す人間の暮らしを思うに、最後に生き残るのはどちらか?・・カメにとっては、しょせん恐竜も人間も同じ存在なのかもしれない」


人間の大脳は平均で1350g、カメはアオウミガメで8.6g。(推定8トンの体重を誇る肉食恐竜:ティラノサウルスは400g程度で恐竜の脳では最大なんだそうです)
カメは学習能力と言う点で哺乳類には及びもしませんが変温動物であるカメの場合、生きるためのエネルギー効率を考えれば温血動物よりも効率が良いのは事実であり、ネズミなどと較べれば寿命は圧倒的に長いのも事実。
これを加味すると学習能力は低くともカメには情報収集の時間が有り余るほど存在する・・と言うようなことが記載されていました。

私が「ふ」と思い浮かんだ言葉・・「年の功よりカメの甲」・・・笑

戻る